筋膜性疼痛症候群

(2018年5月19日)

昨年2017年11月から約4ヶ月の間,脊柱菅狭窄症,腰椎椎間板ヘルニア,筋膜性疼痛症候群を患い,5分以上続けて歩けない,立っていられない状態が続きました。5件の医者を回って,今年4月に回復するまでの記録です。

2014 年頃:右ケツの痛み

ジムでクライミングを週2-3回はじめる。毎回のクライミング後,右ケツが非常に痛くなり,家族に押してもらうが,あまり効果は無かった。右ケツの痛みは現在まで続く。今から振り返るとこの右ケツの痛みが,今回の故障の前兆であった。

2015年4月:腰椎椎間板症

脚(太腿の前)が痛くて歩けなくなる。職場の大学病院の整形外科外来では筋肉の使い過ぎによる筋肉痛といわれ,何も治療してもらえず,近所のT診療所(調布駅前)を訪ねる。レントゲン,MRIで腰椎椎間板症,全治3週間と診断される。痛み止め(ロキソニン)と貼り薬(モーラステープ)と週何回かの牽引で,診断どおり3週間後には回復した。今振り返ると,この症状も,今回の故障と同じだったのだと思う。

2017年10月:天候不順

天候不順のせいか,脚が痛くて歩くのが辛くなる。夏に北鎌尾根に行ったり,春には幕岩に通ったり,すこし動き過ぎた疲れが出たようだ。この頃は日影沢から高尾山を経て城山といういつものハイキングコースを歩くことはできた。

2017年11月9日:間欠跛行

クライミングジムの帰り,ついに,脚の外側が痺れて,数分に一度,前傾姿勢をとって休まなければ歩けなくなった。こういう症状を間欠跛行というらしい。

この日も,いつものようにSさんとジムの最も奥のリード壁で白ホールド5.12aのリードクライミングに挑んでいた。私は,今までで最も上手に登れ,8個目の最終クリップをしてから次の動作に移ることができた。もうすぐ夢のトゥエルブ(5.12というグレードのこと)だ!と喜んでいたのだが,まさか,これを最後に4ヶ月間もクライミングを休むことになろうとは,想像できなかった。

2017年11月14日:脊柱菅狭窄症

調布駅前So整形外科で脊柱菅狭窄症と診断される。神経からくる痛みに効果があるリリカ25mgを一日3錠と牽引の治療をうける。しかし,リリカを飲んでも痛みは殆ど改善せず,市販のロキソニンの方が効く感じであった。1 ヶ月通っても,症状がまったく改善しないので,ネット検索で自分の痛みは筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)ではないかと疑い始める。

以下は,筋膜性疼痛症候群の有名なエピソードである:「ケネディ(元アメリカ)大統領は椎間板ヘルニアと診断をされて,ヘルニアに対する手術をしたが,症状が改善せず,続いて脊椎固定手術をして更に症状が悪化。その後,筋膜性疼痛症候群を発表(発見)したJ. G. Travell 医師が大統領を筋膜性疼痛症候群と診断,トリガーポイント注射などの治療を施して,症状が大幅に改善した。」

2017年12月13日:筋膜性疼痛症候群

自分の症状を最もよく説明してくれている,四谷のY研究所(S治療院,鍼灸院)を訪ねる。決め手は,そこのホームページに掲載されていたJ. G. Travell 医師の図である(下図はWindowsのペイント3Dの3Dモデルで描いたもの)。x印に筋肉のしこり(トリガーポイント)があると,赤い部分が痺れるという説明である。数年前からのケツの痛み,現在の脚の痺れはまさにこの図の通りである。

院長の見立ては,典型的な筋膜性疼痛症候群。手技でトリガーポイントをリリースし,テニスボールに乗って自力でトリガーポイントリリースする方法(テニスボールマッサージ),コアヌードルを使った股関節,背骨まわりのインナーマッスルを鍛えるトレーニングを教えてくれる。どのスタッフの手技もレベルの高いものだった。

2017年12月16日:筋膜性疼痛症候群研究会

民間療法だけでは危険と思い,医師に診断してもらうため,筋膜性疼痛症候群研究会のホームページで紹介されていた,錦糸町駅前Sa整形外科を訪ねる。レントゲンをとり,併設の鍼灸院で鍼治療を受けることになる。1月上旬まで合計4回,全て別の鍼医から鍼を打ってもらう。しかし,どれも痛いばかりで効果はなかった気がする。

2018年1月8日:MRI

4人目の鍼医の勧めで,東京駅前八重洲クリニックでMRIを撮る。

2018年1月20日:椎間板ヘルニア

Sa医師よりMRI結果の報告をうける。「L3/4 の椎間板に巨大なヘルニアがあり,脚の痛みはこのヘルニアが原因で,手術を考えたほうがいいので,鍼の治療は中止して,M記念病院を紹介する」とのことであった。

2018年1月29日:手術

紹介されたM記念病院整形外科部長Se医師を訪ねる。巨大なヘルニアなのですぐに手術が必要と言われる。Se医師は画像を見るのみで,私の(どのように脚が痛いのかという)話はまったく聞いてくれない。手術の申込みを促されたので,一週間待ってもらうことに。

手術は,椎間板を除去して,自身の骨を挿入してスクリューで固定するという入院3週間の大掛かりなもの。乗り気がしないので,もし手術するとしても夏休みにしようと考えているうちにM記念病院へ行くのを忘れてしまった。

2018年2月13日:筋膜リリース注射

I先輩の紹介で,K病院整形外科のT医師の診察をうける。筋膜炎(筋膜性疼痛症候群のことだと思う)と言われ,筋膜リリース注射をしてもらう。漢方薬25番と78番,プロレナール錠(血流をよくする薬),ノイロトロピン(痛み止め)を処方される。

その日帰宅すると,数カ月ぶりに足の痛みから開放され,どっと疲れがでて昼間から寝てしまう。一転,翌日から脚とケツの今まで以上の激痛に見舞われる。T医師に電話すると,「痛みがとれて,また痛くなったのは変化が起きたということで,治療が効いたということなので,ロキソニンなどの処方外の痛み止めは飲まず,2週間痛みに耐えて下さい」といわれる。

今回の故障で最も痛い2週間だった。その間,都内で学会発表があり,その時は,本当に,顔がゆがむほど痛かった。

2018年2月28日:PELD

脊椎の手術で定評のあるI整形外科を訪ねる。知り合いが首のヘルニアの手術を受けたことのあるK医師を指名。PELDという,一泊で退院できる低侵襲性手術適応ということで,手術を即決,3月17日手術の予約をする。翌日,手術のためのMRI,CTなどを撮る。

2018年3月5日:筋膜リリース注射(2回目)

K病院T医師に,K医師からの手紙を届ける。この日,自分の脚の痛みはかなり直ってきている事を自覚する。T医師は,「あと一ヶ月くらいで完全に治るはずなので,手術の必要はないし,処方した漢方薬が効くあなたのような体質のひとは,例え低侵襲性でも手術をすれば余計痛くなるだろう。手術はやめたほうがいい」と強く言われる。2回目の筋膜リリース注射をしてもらう。手術は中止することに。

2018年4月2日:漢方薬

K病院T医師を受診。また痛くなるのではないかという恐怖で歩き方はぎこちないが,実はもう脚は殆ど痛くない。筋膜リリース注射はもう不要と言わる。ノイロトロピン(痛み止め)もなしになり,漢方薬だけ処方される。T医師の言うことは,いつも驚くほどその通りになる。

2018年5月1日:再発予防

K病院T医師を受診。再発予防のためにはインナーマッスルを鍛えること,そうすればクライミングもOKと言われる。すでに3月下旬から室内クライミングを再開し,連休には外岩クライミングに行ったことは秘密。Y研究所のインナーマッスルトレーニングを受けていれば大丈夫でしょうとのこと。

2018年5月19日

脚はまだ痛くない。次の診察は7月である。毎日のテニスボールマッサージとコアヌードルを使ったインナーマッスルトレーニングを欠かさないようにし,クライミングも80%くらいでやめている。冒頭に書いた数年来の右ケツの痛みも,テニスボールマッサージで治ったようだ。M記念病院で手術を受けなくて本当に良かった。その時,手術にネガティブなコメントをくれ,T医師を紹介してくれたI先輩には本当に感謝している。このまま完治してほしい!

追記

2022年5月11日

その後,テニスボールマッサージとコアヌードルを使ったインナーマッスルトレーニングを続けていたにもかかわらず,2019年5月16日~8月10日まで集中講義の椅子が原因でぎっくり腰,2019年12月3日~2020年1月3日まで右太ももの痺れでクライミングができなくなった。

そして,いつだったか,ジム常連のKさんに「背筋が弱いのではないか」と言われ,背筋を含めた軽い筋トレもやるようにしたところ,その後は,まだ故障していない。しかし,年齢も年齢なので,いつ「ぐぎっ」となってもおかしくない,綱渡りを続けている。

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