相似なユニタリ/直交行列はユニタリ/直交行列で相似
(2024年2月29日, 初版2024年2月26日)
A proposition on similar unitary/orthogonal matrices
Proposition:
For similar unitary matrices $A$ and $B$, there exists unitary matrix $X$ such that $B=X^{-1}AX$.
ユニタリ行列$A$, $B$が相似ならば,
$B=X^{-1}AX$となるユニタリ行列$X$が存在する。
Corollary:
For similar real orthogonal matrices $A$ and $B$, there exists real orthogonal matrix $X$ such that $B=X^{-1}AX$.
実直交行列$A$, $B$が相似ならば,
$B=X^{-1}AX$となる実直交行列が存在する。
Conjecture:
For similar complex orthogonal matrices $A$ and $B$, there exists orthogonal matrix $X$ such that $B=X^{-1}AX$.
This conjecture was proved by Dr. T. Miyazaki.
複素直交行列$A$, $B$が相似ならば,
$B=X^{-1}AX$となる直交行列$X$が存在する。
宮崎直氏が証明してくれました。難しいです。エレガントな証明を求む。
Lemmas
- 行列$A$, $B$が相似$B=X^{-1}AX$ならば,$A$, $B$の固有方程式は等しいので,固有値は重複度も含めて等しい。
- $λ, v$が実直交行列Cの固有値,固有ベクトルならば,$λ^*, {}^tv^*$も$C$の固有値,固有ベクトル
- 正方行列$C$の列を入れ替えた行列は$CL$と書け,$L$は実対称で$L^2=L$
Proof:
\begin{align}\label{XAX} B=X^{-1}AX, \end{align} \begin{align} A^*A=B^*B=1. \end{align}
ユニタリ行列はユニタリ行列で対角化できるので,
$A$, $B$を対角化するユニタリ行列を$U_A$, $U_B$,
対角行列を$\Lambda_A$, $\Lambda_B$とすると,
\begin{align}\label{du}
U_A^*AU_A=\Lambda_A, \;
U_B^*BU_B=\Lambda_B.
\end{align}
Lemma 1より,$A$と$B$の固有値は等しいので,
$\Lambda_A=\Lambda_B$となるようように,
固有ベクトルの行列$U_A$, $U_B$の列を並べかえることができる。
したがって,
$$
U_A^*AU_A = U_B^*BU_B.
$$
$B$について解くと,
$$
B = U_BU_A^*AU_AU_B^* = (U_AU_B^*)^*A(U_AU_B^*).
$$
$Y=U_AU_B^*$とおくと,
$$
B=Y^{-1}AY.
$$
これを\eqref{XAX}と比べると,$X=Y$ととれる事がわかる。
この$Y$は,$Y^*Y=U_BU_A^*U_AU_B^*=1$なのでユニタリ。
(この証明は上記宮崎氏のコメントで書き換えました。オリジナルの半分以下の長さになりました。)
□
Proof of corollary:
\begin{align}
{}^tAA={}^tBB=1
\end{align}
\begin{align}
{}^tA=A^*, \; {}^tB=B^*.
\end{align}
$A$, $B$はユニタリ行列なので,Propositionより,Propositionの記号で,
$X=U_AU_B^*$。
したがって,
\begin{align}\label{tXX}
{}^tXX={}^t(U_AU_B^*)U_AU_B^*={}^tU_B^*{}^tU^A U_AU_B^*.
\end{align}
ここで,
$U_C$, $C=A,B$の列は\(C\)の固有ベクトルなので,
Lemma 2より,\({}^tU_C^*\)は\(U_C\)の列を入れ替えた行列。
したがって,列を入れ替える行列を\(L\)とすると,
$$
{}^tU_C^*=U_CL, \; C=A,B.
$$
Lemma 3より,\eqref{tXX}は
$$
{}^tXX={}^tU_B^* L^*U_A^* U_A {}^tL{}^tU_B={}^tU_B^* L^* {}^tL {}^tU_B
={}^tU_B^* {}^tU_B={}^t(U_BU_B^*)=1.
$$
すなわち,\(X\)を直交行列にとれる。
なお,この\(X\)はLemma 3より
\begin{equation}\label{ORX}
{}^tX^*={}^t(U_AU_B^*)^*={}^tU_A^*{}^tU_B = U_A L L^* U_B^*=X.
\end{equation}
なので,$X$は実。
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Proof of lemma 1
\begin{align}
A=X^{-1}BX
\end{align}
の時,$E$を単位行列,$t$を変数として,$A$の固有値を決める固有方程式は
$$
\det(A-tE)=\det(X^{-1}(B-tE)X)=\det(X)^{-1}\det(B-tE)\det(X)=\det(B-tE)
$$
なので$B$の固有方程式に等しい。
□
Proof of lemma 2
$$ {}^tCC=1, {}^tC^*=C. $$ $$ Cv=\lambda v $$ ならば, $$ {}^t(Cv)^*=C^tv^*=\lambda^*{}^tv^*. $$ □
Proof of lemma 3
$L$は,
$i$列と$j$列を入れ替える場合は,$i$行目は$j$列,$j$行目は$i$列のみが$1$で他は$0$。
これは実対称$L^*={}^tL$, ${}^tL=L$。
同じ入れ替えをもう一度行うと元に戻るので$L^2=L$。
□
間違いの指摘,アドバイスなどをコメントに書き込んで頂けると有難いです。
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