三つ峠 岳ルート 5.10a/b と 地蔵ルート右 V級

(2017年5月21日) 

岳ルートは映画「岳」の撮影用に開拓された,三つ峠左フェイス中央カンテ隣の4ピッチのルート。開拓者による解説とトポはこちら。「1ピッチ目と2ピッチ目下半は中央カンテの左側、2ピッチ目上部から中央カンテ右側(V字ロック左側)を登る」 ROCK TOPO 岳ルート 地蔵ルート右

2014年6月14日にSさんと三ツ峠の岳ルートを2ピッチ登って降りてきた。ルート途中の2ピッチで降りた理由は,午後の遅い時間で体が疲れ切っていた事と,クライミングジムでグレード5.10aのリードがギリギリだった当時の実力では,平均グレード5.10aの岳は,まだ力不足と感じたからであった。

それから,約3年,クライミングジムでトレーニングを重ね,錦糸町t-wallの垂壁は5.10d,前傾壁は5.11cまでリードできるようになり,満を持して,今年5月21日に,Kくんに付き合ってもらって,岳のリベンジに出かけ,完登することができた。

2017年5月21日(日)

朝6:01にKくんと武蔵境駅で待ち合わせ,車でピックアップする。当初,前日の土曜日の予定だったが,日曜日の天気も良さそう,Kくんは金曜出張で帰宅が遅く,私も土曜日恒例の錦糸町t-wallクライミングに参加したかったので,日曜日に変更となった。その土曜日の錦糸町では,自身最高グレードの5.11cの課題をその日1回目(通算9回目)のトライで登ることができ,あまり疲れないうちに帰宅して,気分良く翌日の岳に備える事ができた。

7:30頃,三ツ峠裏登山道入り口着。駐車スペースは殆ど一杯だったが,何とか停めることができた。

すぐに歩き始める。いつの間にかペースがあがり登山客をどんどん抜かす。気づくと,汗だくになってしまい,三ツ峠山荘のベンチで100円払って休息。富士山を眺めながら汗を拭いていると,途中で抜かしたゆっくりペースのおじさん・おばさんに抜き返される。

9:00頃「岳」の取り付き到着。誰も登っていない。一般ルートでアップしてからと思っていたが,混むと困るので登り始めることに。事前に決めていた通り,Kくんからつるべで登攀開始。

1P目(5.9) Kくん

ルートを外して左の方へ行ってしまう。トポには左の方はIII+級と書いてある。フォローしてみると,その割には朝一なので怖い。アップしてなかったので丁度よかったかも知れない。

2P目(5.10ab) 私

3年前は,講習中のガイドのおじさんが落ちても大丈夫なようにスポット姿勢をとってくれ,登り方も教えてくれたが,今回は誰もいない。取り付いてみると,1ピン目に手が届いたのですぐクリップでき,スポットのない恐怖はなくなった。しかし,無理やり登ると落ちそうな気がしたので,ホールドとスタンスをよく探ってからムーブを起こす。案外簡単に核心部を通過することができた。

3年前は,岩に靴を擦り付けるスメアでガリガリ登った記憶があったが,今回は細かいスタンスを探して静かに登ることができた。ジム練習の成果と思われる。

そして,3年前はそのガイドのおじさんが終了点も教えてくれたのだが,その事をすっかり忘れて,トポ緑線のように中央カンテに入ってしまった。中央カンテで区切るはずはないので,右のカンテを覗くと,鉄のカラビナが付いたハンガーボルトが2つあったので,そこでセカンドのKくんをビレーする。

3P目 (5.10a) Kくん

私がそこでビレーしているとKくんが通過できない。Kくんと場所を入れ替わって,私が中央カンテに戻ってKくんのリードをビレーする。トポにあるように,すぐに核心部だが,Kくんは難なく通過する。そして途中「ハンガーボルトが無いんですが」と言いながらも,終了点へ。終了点は中央カンテと共通の広いテラスで,アプザイレン中のパーティがいたので,彼らが全員下降するまで,クライミングシューズを脱いで(クライミングシューズはキツイので足が痛くなる),足を休めつつ,小休止をとる。

4P目 (5.10ab) 私

ハンガーボルトが等間隔に打ってあるのが見え,ルートは全く迷わない。1ピン目にヌンチャクをかけてザイルを通してからは,ジム気分で,「体の向きを間違えるとバランスを崩すかな」などと思いながら大胆なムーブで登ってみる。核心部も気持ちよく越えて終了点へ。ここで登攀修了。

すぐにV字ロック左側をアプザイレンする。50mダブルロープなので一気に1P目終了点の広いバンドまで降りる事ができる。もう一度アプザイレンして登山道へ戻る。すでに13:30なので昼食をとり,記念撮影。

岳を背景に記念撮影

下の写真には岳の全景が写っている。右の写真下中央から登り始め,上部に見える顕著な三角錐の左面を登って(4P目前半),奥の大きな三角形の左下をぬける。

地蔵右 (V級, 5.7)

昼食後,学生時代は難しくて登ることができなかった右フェイスの地蔵右ルート(V級)をやってから帰ろうということになり,地蔵ルート下へ。

地蔵右は数年前,Sさんがリードしていたので,クリップ用のボルトが適切に打ってあることは判っていたのだが,下から観察してもはっきりボルトもハーケンも見えない。Kくんが学生時代に慣れ親しんだ地蔵左(V-級)から登って見てきてくれるというが,細いシュリンゲが2本しか無いので諦める(地蔵左ルートは細いシュリンゲでないと通らないハーケンが多い)。

地蔵右 2016年5月22日

もう一度,目をこらして見てみると,下から3つのボルトは確認できたので,私からリードを始める。岳よりは簡単な気がした。高度感があるので動揺してホールドを見失いがちだが冷静に探せばガバが沢山ある。グレード対応表だとV級は5.7となっているが,まあそのくらいだと感じた。続いてKくんもリード。

すぐに下山をはじめ,車に戻ったのは15:30。三ツ峠恒例のももの里温泉にも寄らず帰路を急いだが,中央高速の渋滞が始まっており,19:10武蔵境駅着,Kくんと別れる。

翌日,腕がヒリヒリ火傷したように痛い。紫外線注意報が出ていたらしい。

岳のリベンジに成功して,充実した一日でした。

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